スピーカー開発販売のバタフライサウンド
音響に必要な電気の基礎
重要な用語
直流
一定の極性を持つ電流です。DCとも呼ばれます。
交流
プラスとマイナスが時間の経過とともに入れ替わる電流です。家庭用のコンセントには電圧100[V]、周波数50[Hz](東日本)(60[Hz](西日本))の正弦波交流がきています。ACとも呼ばれます。
電圧
電気の圧力の事で、単位[V](ボルト)で表されます。一般に記号EまたはVが使用されます。
電流
電気の流量の事で、単位[A](アンペア)で表されます。一般に記号Iが使用されます。
電力
電気が仕事をする力の事で、単位[W](ワット)で表されます。一般に記号Pが使用されます。
抵抗
電気の流れを妨げる素子等を指し、単位[Ω](オーム)で表されます。一般に記号Rが使用されます。
固定式のアッテネータには熱に強く許容電力の大きなセメント抵抗やメタルクラッド抵抗が使用されます。アクティブフィルタの次定数用抵抗には精度の特性の優れた金属皮膜抵抗が使用されます。
コンデンサ
高い周波数の交流を通し、低い周波数や直流に対しては抵抗として働く性質も持った素子です。単位[F](ファラッド)で表され、一般に記号Cが使用されます。
クロスオーバーネットワークには極性のないフィルムコンデンサを使用します。
コイル
直流や低い周波数を通し、高い周波数に対しては抵抗として働く性質を持った素子です。単位[H](ヘンリー)で表され、一般に記号Lが使用されます。
クロスオーバーネットワークにはヒステリシス損の小さい空芯コイルの使用が望ましいとされています。
インピーダンス
交流における抵抗の実行値を示します。直流の場合と異なり、回路中にコイルやコンデンサがある時、周波数によって抵抗値が異なる特性を持ちますので、単純に抵抗として扱うことができなくなります。そこで、交流に於ける抵抗の実効値を表す時にインピーダンス[Ω]を使用します。一般に記号Zが使用されます。
素子の値
抵抗やコンデンサの値はJISで定められているE数列が使用されています。クロスオーバーネットワークや補正回路の各素子の値を決める時には、出来るだけE6系列の組み合わせで選んでおけば入手が容易です。
E6系列 (1.0, 1.5, 2.2, 3.3, 4.7, 6.8)例えば8Ωの抵抗が必要な時は、4.7Ωと3.3Ωを直列にして8Ωとして使ったり、1.3μFのコンデンサが必要な時には、1μFと0.33μFを並列にして1.33μとして使うか、0.68μF, 0.47μF, 1.5の3本を並列にして1.3μFにして使うことができます。E12系列までの素子は誤差が±10%の場合が多いので、テスタやLCRメータで誤差を確認し、複数本の素子によって誤差が大きい方向にずれないように確認したほうが良いと思います。E系列はさらに細かいE24, E48, E96など、それ以上に細分化されています。
E12系列(1.0, 1.2, 1.5, 1.8, 2.2, 2.7, 3.3, 3.9, 4.7, 5.6, 6.8, 8.2)
単位の接頭語
スピーカー製作で使う単位には、kHz(キロヘルツ), μF(マイクロファラッド), mH(ミリヘンリー)などがあります。
T
テラ
1,000,000,000,000
1012
G
ギガ
1,000,000,000
109
M
メガ
1,000,000
106
k
キロ
1,000
103
m
ミリ
0.001
10-3
μ
マイクロ
0.000001
10-6
n
ナノ
0.000000001
10-9
p
ピコ
0.000000000001
10-12
オームの法則
電圧(E)・電流(I)・抵抗(R)の関係を示した公式です。
E = I * R
where
E:電圧[V](ボルト)
I:電流[A](アンペア)
R:抵抗[Ω](オーム)
抵抗の合成 R
直列
並列直列に接続した抵抗は、単純に和が合成抵抗値になります。R1を流れる電流とR2を流れる電流は等しく、R1にかかる電圧とR2にかかる電圧は分散(分圧)します。それらはこの合成抵抗に加えられる電圧とそこから求められる電流を使って、オームの法則で求めることができます。
並列に接続した抵抗は、左の式を元に合成抵抗値が求められます。この回路ではR1とR2にかかる電圧は等しく、電流は分散(分流)します。R1とR2を流れる電流は、この合成抵抗に加えられる電圧とそこから求められる電流を使って、オームの法則で求めることができます。
(また2本の抵抗の場合 (R1*R2)/(R1+R2) でも求められます。)
コンデンサの合成 C
コンデンサの容量は抵抗の合成とは逆の式で合成されます。
直列
並列
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交流の基礎
交流の電流を妨げる素子には抵抗、コイル、コンデンサがあり、これらはフィルタ回路の基礎となります。
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抵抗のみの回路の場合では、直流の時と同じくオームの法則が成り立ちます。これに対しコイルのみの回路では、電流に対して電圧が90°進み、コンデンサのみの回路では、電流に対して電圧が90°遅れます。抵抗・コイル・コンデンサ混合の回路ではこれらの複合となります。左図は交流に対する抵抗の関係をベクトルで表現したもので、電圧と電流のずれを位相差θ(シータ)と呼び、そしてXLを誘導リアクタンス、XCを容量リアクタンスと呼びます。Zはインピーダンスで実効値を表しています。R, XL, XC, Z の単位にはオームを使用します。上記のXLとXCを求める式から、周波数fによってリアクタンスとインピーダンスが変化するという事が判り、R, X, Z, θの間には「ピタゴラスの定理」の関係が成り立つ事が判ります。
R, L, C の直列回路(と余談)
下図にそれぞれの素子を流れる電流と電圧の関係をベクトルで示しています。直列回路は複素数を使わずに理解ができる基本的な交流回路で、これだけで6dB/octの位相関係について説明がつきます。
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直列回路は電流を基準に考えます。中央の図は、素子ごとの電流に対する電圧をベクトルで示しています。コイルにかかる電圧をVL、コンデンサにかかる電圧をVCとして、縦軸で電圧の進みと遅れを表現しています。VRは進みも遅れもないので、電圧のベクトルは電流と同じ向きを向いています。これら3つの素子のベクトルを合成すると、その右側の図のようになり、トータルでの進みと遅れが合成されて、この回路にかかる電圧の位相も分かります。
オームの法則を思い出して下さい。E = I・Rが電圧を求める式です。ここではVR = I・R, VL = I・XL, VC = I・XCという関係が成り立っています。先述のR, XL, XC, Z の関係と等しい関係である事が解ります。電流Iが変化した時、ベクトルの長さ(三角形の大きさ)は変わりますが、ベクトルの向き(三角形の形)は変わりません。そして三角形の斜辺は回路全体のにかかる電圧であり実効値で、電流Iで割るとそれはインピーダンスであるという事です。インピーダンスの定電流測定法で、電流を一定に保ちながら電圧を測定する理由はここからきています。
リアクタンスとインピーダンスの関係があやふやだと、「コイルは位相が(電圧が電流より)90°進み、コンデンサは90°遅れるから、両者の位相差は180°となり、6dB/octのクロスオーバーネットワークは逆相接続が基本である。」という勘違いをしてしまいます。180°の位相差とは誘導リアクタンスと容量リアクタンスにだけかかる電圧の位相差であってドライバも含めたフィルタ回路の実効値ではありません。
また、6dB/octを-3dBでクロスさせるのは、電圧位相差90°から来ています。同じ電圧位相の正弦波が合成されると6dBアップするはずですが、90°の位相差があるために3dBアップになります。
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