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クロスオーバーネットワーク理論

クロスオーバーネットワークの諸特性 その1(連載2)

クロスオーバーネットワークは2つ以上のフィルタから成ります。この項ではフィルタの様々な特性を示すグラフとフィルタの基本的性質について解説したいと思います。

周波数特性(F特)

周波数特性  サンプルは1次から4次のバタワース・LPFの周波数特性です。周波数特性の横軸は周波数(対数)、縦軸はゲインです。周波数はヘルツ[Hz]か角周波数のω[rad/sec]が用いられます。このグラフはω=1をカットオフ周波数に正規化したグラフです。周波数特性は伝達関数G(S)のSをjωに置き換えることで周波数に対する振幅を求められます。
G(jω) = α(ω) + jβ(ω)
M(ω) = √(α2(ω)+β2(ω))
jは虚数単位
 次数の少ないフィルタから順に減衰スロープは6, 12, 18, 24[dB/oct.](20, 40, 60, 80[dB/dec.])に収束します。

位相特性

位相特性  サンプルは1次から4次のバタワース・LPFの位相特性です。位相特性の横軸は周波数(対数)、縦軸は角度です。位相特性は周波数伝達関数G(jω)から求められます。
φ(ω) = tan-1(β(ω)/α(ω))
 次数の少ないフィルタから順に位相は90, 180, 270, 360[deg](1/4π, 1/2π, 3/4π, π[rad])回転(遅れ)します。

群遅延特性

群遅延特性  サンプルは1次から4次のバタワース・LPFの群遅延特性です。群遅延特性の横軸は周波数(対数)、縦軸は時間です。群遅延特性は位相特性を微分することで求められます。
Δt = -(dφ/dω)
 位相が急激に変化する場所では、群遅延時間が大きくなります。群遅延特性で問題になるのは主にピークです。実際の遅れ時間は読み値を周波数[Hz]で割ることで求められます。

ステップレスポンス

ステップレスポンス  サンプルは1次から4次のバタワース・LPFのステップレスポンスです。単位ステップ入力(DC)に対する応答特性をステップレスポンスと呼びます。横軸は時間で縦軸は応答ゲインです。ステップレスポンスの定義式は次の通りです。
k(t) = L-1{G(S) 1/S}
L-1は逆ラプラス変換を意味します。
 フィルタの次数が高くなるにつれて立ち上がりが遅くなっていますが、これはより高次のLPFの方が高い周波数を除去しているためです。ここで主に問題になるのはオーバーシュートとリンギングです。

インパルスレスポンス

インパルスレスポンス  サンプルは1次から4次のバタワース・HPFのインパルスレスポンスです。全帯域の信号を持った単位インパルス入力に対する応答特性をインパルスレスポンスと呼びます。横軸は時間で縦軸は応答ゲインです。インパルスレスポンスの定義式は次の通りです。
g(t) = L-1{G(S)}
 インパルスレスポンスはステップレスポンスを微分したものと等価です。そしてインパルスレスポンスをフーリエ変換すると周波数応答(周波数と位相)が求められます。

 以上5種類のフィルタの特徴を示すグラフをさわりだけ解説しました。このようにすべての特性は相互に関連しています。これらグラフは横軸に周波数をとったものと、時間をとったもの2種類に大別されます。そして周波数応答からの切り口をFrequencyドメインとして、それに対して時間応答を切り口にTimeドメインという理論に区別されることがあります。一部の間違った解釈によるとあたかもTimeドメインの方が優れているように記述されていますが、両者は表現方法の異なる同じものです。

 ここで用いたサンプルのグラフは、LPFかHPFどちらか片方だけのものなので、クロスオーバーネットワークの特性を評価するためにはまだ不十分です。次回は両者を合わせた形でクロスオーバーネットワークをどのように評価していったら良いか考えていきたいと思います。

前項『クロスオーバーネットワーク概念
次項『クロスオーバーネットワークの諸特性(その2)


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