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高域インピーダンス補正

 高域のインピーダンス補正は、クロスオーバーネットワークを使う時の必須項目です。クロスオーバーネットワークから見て、負荷であるウーハーのインピーダンスが一定でないと、正しいクロス特性が得られません。図1のようにコンデンサと抵抗をユニットに並列に接続し、一般に次の公式が用いられます。しかしボイスコイルのインダクタンスは公開されていない場合もあり、この場合はまずインピーダンス曲線からインダクタンスを求めます。

 ユニットの等価回路(1)は、RdcとLeで構成されるボイスコイルの電気的インピーダンスと、Cm, Lm, Rmで構成される機械的インピーダンスを表現しています。高域のインピーダンス上昇は、Rdcの上にLeのインピーダンスが乗っかる形で構成されます。公称インピーダンスZは一般的に機械的インピーダンスの影響を受けて、Rdcより高くなります。

ユニットの等価回路(1) インピーダンス曲線(1)

 インピーダンス曲線(1)から判るように、周波数が充分に高い場所では、機械的インピーダンスの影響を無視できるので、充分に高い周波数に限っては近似的に等価回路(2)に置き換えることができます。

ユニットの等価回路(2) インピーダンス曲線(2)

 この回路に於いて、インダクタンスは次式で求められます。

よって、等価回路(2)を公称インピーダンスZで一定に保つ為には、次のようにすれば良いわけです。

 インピーダンスの補正とは、周波数が高くなりLeのインピーダンスが高くなって、ユニットに流れる電流が少なくなった時に、補正回路へと電流をバイパスする回路だという事が分ります。これによってアンプやクロスオーバーネットワーク側から見れば周波数が高くなっても、一定のインピーダンスを持った負荷として扱う事ができます。また、補正回路はユニットに対して並列に接続されているので、ユニットの端子にかかる電圧は補正に関わらず同じ電圧です。

補正早見表

ユニットのパラメータをRdc=7Ω, 公称インピーダンスZ=8Ω
算出条件をRc=8.2Ω, f=10kHz, Zt:インピーダンス@f として計算
Zt [Ω] Rc [Ω] C [μF](計算値)
128.22.2(2.31)
168.23.3(3.41)
228.24.7(4.94)
308.26.8(6.90)
448.210(9.80)

補正回路に使うコンデンサと抵抗

コンデンサ
 クロスオーバーネットワークによく使われるコンデンサは、ポリエステルかポリプロピレンのフィルムコンデンサですが、tanδがポリプロピレンの方が小さく、優れていること、耐圧が高い周波数まで高いことからポリプロピレンが高性能オーディオでは一般的です。しかし、tanδはどちらも1%を切るオーダーで、またこの補正回路は手前のローパスフィルタで高い周波数がカットされていることから、価格とサイズから考えて250VDC/120VAC程度のポリエステルフィルムコンデンサで充分だと思います。

抵抗
 セメント抵抗かメタルクラッド抵抗を使用します。これはケースが異なるだけでどちらも巻線抵抗の一種です。巻線抵抗はインダクタンス成分を非常に小さく抑えた無誘導巻きとそうでないものとがありますが、高い周波数はローパスフィルタでカットされている上、インダクタンス成分といっても、可聴範囲をはるかに超えている周波数でのインダクタンスですから、無誘導巻きの必要は無いと思います。この補正回路に流れるのはユニットのインピーダンスが上がった所より上で、フィルタのカットオフ周波数より下の周波数の電流ですから、通常は10W程度のセメント抵抗で充分でしょう。




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